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キラリ企業 / 山二造酢株式会社

お酢を飲む文化を世界に広げていく老舗ベンチャー企業

FOCUS

山二造酢株式会社

代表取締役 岩橋 邦晃

2016/04/01 掲載

執筆者:村瀬 貴幸

インタビュー日時:2016年2月16日

こんな会社

「老舗なのに考え方が新しい」

古く趣ある街並みを残す、三重県津市阿漕町。ここでお酢の醸造を営む山二造酢は、創業明治20年の老舗です。現在は、5代目の岩橋邦晃社長が会社を率いています。山二造酢の醸造法は、昔ながらの「じっくり発酵、ゆっくり熟成」。大量生産されるお酢は、空気を強制的に送り発酵させるので、2、3日で出来上がりますが、山二造酢では仕込みから発酵、熟成まで3か月もかけているとか。そこまで時間をかけるからこそ、旨みが増し、角の取れた口当たりまろやかな「やさしいお酢」に仕上がるんだそうです。

でも、山二造酢のスゴいところは、伝統を守り続けていることだけではないんです。例えば、時代のニーズに合わせた、斬新なお酢の開発に取り組んでいるところ。その一つが、フルーツ酢などの「飲むお酢」です。生産だけでなく、加工や販売にも関わる「6次産業化」を進める農家への支援として、こうした商品の提案や受注を行っているのだとか。また、インターネット通販や海外展開など、様々なことに果敢に挑戦しているのもスゴいところです!

学生から見た魅力

一人ひとりが責任を持って結束する

「自分に自信を持てるようになった」と話すのは、事務担当の社員さん。「仕事を任されていると気付いてからは一層責任を感じるようになり、それが自信につながった」と言います。他の社員が営業などで事務所を空けているときには、「会社全体のために自分が頑張らないと!」と思うそうです(すばらしい!)。また、製造と配達担当の社員さんからも、「任されていると感じながら仕事をしている」と、同様の答えが返ってきました。そして「自分でつくった商品を、お客さんの手に渡るまで見届けられるのがうれしい」とも話してくれました。

岩橋さんは、よく社員に「もし謝りに行かなければならないような失敗をしたら、一緒に行くよ」と言っているそうです。まさに理想の上司!頼れる社長のもとで、やりがいを感じながら仕事をしている山二造酢の強いチーム力を感じました。

大手にできないことをやる

「山二造酢の従業員は20人ほどと、決して大きな会社ではありません。だから、大手のように安さで勝負はできない。でも、こだわりを持ってお酢を造っている姿勢だけは、大手に負けない。それをお客さんにわかってもらいたい」というのが社長の思い。そして「大手にはできないことを目指すのが、山二造酢の会社としての生き方だ」と考えています。この「大手にはできないこと」の一つが、農家の6次産業化支援である「飲むお酢」の開発です。「自分で造ったものを加工し、商品としてお客様に届けたい」という思いを持つ農家の方々に、お酢と果物や野菜の組み合わせの良さを生かした商品として「飲むお酢」を提案しています。

なぜ大手にはできないのか。それは、農家が生産できる農産物の量と関係しています。大手では、大量の農産物を原料に、大量に生産することで安い商品を生み出しています。でも、それほどの量を生産できる農家はそう多くはありません。たいていは、少量の野菜や果物を丁寧に作っています。この「少量生産」に対応できるのは、大手ではなく、むしろ山二造酢のような会社。この強みを生かし、商品展開や販路開拓まで、きめ細かくサポートをしているというわけです。

ミライへの展望

外国でお酢を飲む習慣をつくりたい

岩橋さんが知り合いの勧めで足を運んだ東南アジアでは、「飲むお酢」の評判が思った以上に良かったそうです。以来、現地の食品展示会にはできるだけ参加しています。注目しているのは、健康への関心が高まっているシンガポールとマレーシア。特にマレーシアでは、国が、脂っこいものの多い食習慣への問題意識を持っているようです。「ならば、お酢による健康増進を提案し、事業展開を図れるのではないか」。岩橋さんはそう考えたのです。

ところが、海外のお酢市場にもすでに大手企業が食い込み、調味料としてお酢を販売しています。そこに参入していくには、新たな戦略が必要。ではどうするか…。そこで出てきた発想が、海外には今までなかった「お酢を飲む」という新たな習慣作り。さらに「『飲むお酢は山二造酢』というイメージを定着させたい」と岩橋さんは意気込みます。今後の売上については、「『飲むお酢』を中心とした6次産業化支援は、現状の1割から3割へアップ。海外展開は1割に満たないものを、2割へと伸ばしていきたい」と言います。そのために欲しい人材として、岩橋さんは「海外での事業を引っ張っていける人や、日本全国の農家と向き合い6次産業化を成功へと導ける人」を挙げます。「海外展開のためには、言葉の壁を越えていける人がいるといいね」とも話していました。

取材を終えて

岩橋社長の発言に、「山二造酢で働く人が、会社を好きになって欲しい。私はこの会社で働く人が山二を好きになるよう頑張っていく」という言葉がありました。そして社員からは「ここは本当に好きになれた会社」という声を聞きました。社長の思いがきちんと社員に伝わっている。大手ではなく中小企業だからこそ作れる雰囲気というものが確かにある。そんなふうに感じました。「この会社に勤めることで、幸せな人生を送ってほしい」という岩橋社長。「幸せ」というのは、こういったところにあるのかもしれません。